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iOSデザリングでWIRES-Xを使う


ローカル局がモバイルルータでWIRES−Xを運用しています。携帯回線ですのでさすがに安定しています。アマチュア無線家なのでアマチュア無線の利用を基本としながらも、ノード局が使えない時の非常用として、携帯回線で利用できる環境もほしいと思うのは私だけではないでしょう。
せっかく、簡単WIRES−X接続キットがあるのでiPhone6s(docomo)かiPad Air(au)のデザリング機能を使ってWIRES−X運用に挑戦してみることにしました。デザリング接続での最大のハードルは、ポート転送です。当然、iOSのアプリにそんなものはありません。我が家には、Rasberry piでSoftEtherが動いているので「VPN(Virtual Private Network)環境」があるではないか。つまり、VPN接続すれば多分いけるだろうという発想からこの挑戦は始まりました。

まず、今動いているスティックPC(SPC)をそのまま利用するとなると以下のようになります。

前提条件:SoftEther Severが自宅で稼働

SPC(WIRES-X)  -> (WIFI デザリング接続) -> iPhone(docomo回線でネット接続)
この状態では、ポート転送が出来ないのでWIRES-Xは動作しません。
という事で、VPN接続を利用します。VPNソフトは、とても使いやすいSoftEtherを利用します。

SPC(WIRES-X) SoftEther仮想LANカード(固定IP) -> SPC 物理WIFIカード(固定IPを解除) ->(WIFIデザリング接続)->iPhone(docomo回線でネット接続)

この環境を作り、SoftEther クライアントソフトで自宅のSoftEtherサーバに接続します。これにより、従来の自宅ネットワーク環境のままでWIRES-X利用できるという事です。
つまり、これまで利用している自宅のルータはこれまでどおり仮想LANカードに割り振られているIPアドレスにポート転送しますので、WIRES-Xが利用できることになります。

と書いたもののピンと来ないかと思いますので、もう少し順を追います。

1.自宅でVPNサーバを稼働させる
  VPNソフトは、数多く存在しますがお勧めは何と言ってもSoftEther VPNです。
  ここからサーバを動かすOSにあったサーバソフトをダウンロードしてインストールしましょう。私は、消費電力も少ないRaspberry piで動かしています。インストール方法はネットを探せばたくさんありますがここなんか参考になります。
  Windows版もありますし、インストールや設定も他のソフトと比べれば極めて簡単です。なお、インストール方法は、ここか同じくGoogle先生にお尋ねください。

  サーバ設定は、ここにも詳しく書かれています。とくに、グローバルIPアドレスが無く、設置したサーバをダイナミックDNS設定を動的IPの環境にもアクセス出来るようにSoftEtherが提供しているダイナミックDNSを使用できます。"ダイナミックDNSホスト名の変更"から、.softether.netの前の部分を他のユーザと重複しない設定にしてください。のちほど、クライアント側の接続先設定で、ここで設定したドメイン名を使用することになります。

2.WIRES-Xが動いているパソコンをデザリング経由でネットに接続
  WIRES−Xが動いているWIFIカードに割り当てられたプライベートIPアドレスを自動取得にします。この時、いままで割り振っていたプライベートアドレスやDNSのアドレス等はメモしておいてください。あとで仮想LANカードに割り当てます。



これが終わったらデザリングを利用してネットに接続します。PCからネットサーフィンが出来ることを確認してください。

3.SoftEther VPN Clientをインストール
  サイトからWindows用のSoftEther VPN Clientをダウンロードしてインストールします。
  
4.仮想LANカード新規作成
  私は、VPNという名前のカードを作成しました。下記の画面となります。



ここで、新規作成したVPN仮想LANカードに先ほどメモしたIPアドレスを割り当てます。



VPN−VPN Clientを右クリックし、プロパティを出します。



TCP/IPv4を選択しプロパティをクリック



ここに、先ほどまでWIRES−Xが動いていたパソコンに割り振られていた(メモした)プライベートIPアドレスを割り当てます。

5.SoftEther Clientでサーバソフトにサーバに接続するための設定を行います。サーバソフトに接続するためのID、PW等はサーバインストールの時に設定したものです。



新しい接続先の作成を開いて、設定内容を書き込みます。

6.VPNサーバに接続

 
 先ほど設定した接続先を選択しVPN接続します。

7.WIRES−Xの動作を確認
 VPN接続が確立したらWIRES−Xを起動して動作を確認します。
 

無事に起動しました。

8.動作確認
自宅で稼働を確認しましたが、本当にデザリング経由で接続できているのを確認するため自動車にPCと簡単WIRES−Xを搭載。今回は、デザリング機器はiPad Air(au)を使う事にしました。HRI-200、簡単WIRES-X接続機器の電源は、パソコンのUSBからとりました。特に、音声にノイズがのるようなこともありませんでした。


とりあえず、実験ということで機器一式は助手席に乗せただけです。実験は、夜に団地の近くの公園まで車を動かし自宅WIFIが届かないことを確認してデザリングでネット回線に接続しVPNで自宅のVPNサーバに接続。みごとWIRES-Xが間違いなくデザリングを利用して動作することを確認しました。動作確認中は、パソコンのあかりが薄く光る社内でマイクを持ってしゃべる怪しい不審者にまちがわれないかと気が気ではありませんでしたが(^^;

なお、スティックPCを使用するとVPN接続成功時はこんな画面になります。つまり、WIFIしかないスティックPCのネットワークカードの表示が有線LANカード表示になっているのが分かると思います。また、デザリング機器であるiPhone6s は、VPN接続ができた時点で制限ありと表示されます。


これでモバイルルータを契約しなくてもデザリングでWIRES-Xが利用できます。
本格的に車に搭載して利用しようと考えるならPC関係一式をコンパクトに整理する必要がありますが、私の場合はどうしたものか。(^^;

<おまけ>
自宅ルータの機能でVPNが使えるよという方も多くいると思います。
私の場合は、docomo回線がメインでしたので当初多くのルータで使用しているPPTPによるVPNは使えませんでした。このためSoftEtherを利用してL2TP接続しています。しかし最近は、docomoがiPhoneを手掛けるようになりSPモードに大幅な修正を行った副産物としてdocomoでも使えるという情報が多く見受けられます。なお、当初からauやsoftbankの回線では、PPTPによるVPN接続はできています。

VPN接続ができれば同じ考え方でWIRES-Xは動くのではないでしょうか?
ということで、確認してみようととりあえずルータのPPTPサーバーの設定をしてみようと思いました。
WIRES-X PCがアクセスしたときに(SoftEtherの仮想LANに相当させるアクセス側)IPアドレスを振るために、WIRES-Xに割り当てていたプライベートIPを振ろうとすると「できません」と怒られました。


調べるとBUFFROのサイトに同一のネットワークアドレスでの接続はできないとの詳しい解説があります。
残念ながらルータ機能にある「PPTP」を利用してのWIRES-Xのデザリングはできない気がします。

これ以上、PPTPでアクセスできないかについて深入りする気はないので、終わりとします。(^^;
てっとりばやくやりたい方は、SoftEther VPNをご利用ください。(^_^)

探すとバッファローのWXR-1900DHPという機種がL2TP over IPsecに対応しています。もしかしたら使えるかもしれません?
この機種をお持ちの方がいたら試してみて結果を教えてくれると嬉しいです。


WXR-1900DHP2を購入(平成28年6月4日)
自宅のネットワーク環境を増強しようと思い、どうせならと購入しました。
早速実験ですが、LAN環境でのインターネット接続スピードはルータのCPUが1GHzになっていることもありだいぶ早くなりました。
購入した成果あり。

これは、良しとしてWires-Xのデザリングが出来るか早速実験。
結論から言うと、L2TPでのVPNは難なくできますが、デザリングによるWIRES-Xの稼働はダメでした。
やはり、SoftEther VPNに限ります。

PC側のLANカードに固定IPアドレスを振ることが不具合の原因です。
仮想ネットワークカードに固定IPを割り振り、そこにポート転送をかけるSoftEther VPNのようなものを使わないと
デザリングは出来ないようです。